システム受託開発後の保守運用とは?
契約前に知るべき基本と対処法

システム受託開発後の保守運用の基本と契約の注意点とは
システム開発を外部に依頼して無事にリリースされたとしても、それでプロジェクトが完了するわけではありません。むしろ本番環境に移行してからが本当のスタートです。受託開発における保守運用は、安定した稼働と継続的な改善を実現するために不可欠なプロセスです。
こちらでは、保守運用の基本的な役割や対応範囲、トラブルを未然に防ぐポイント、契約前に必ず押さえておきたい費用や内容の確認事項について解説します。システムの運用に不安がある方や、これから受託開発を予定している方必見です。
システム保守運用の基本と押さえるべき要点
保守運用とは、システムを安定して継続利用するためのサポート業務を指します。システムは開発して終わりではなく、運用開始後も日々の監視、障害対応、データバックアップ、法改正や環境変化に伴う調整などが必要になります。
受託開発で導入したシステムを正しく活用し続けるには、この保守運用の基本を理解し、適切な契約と運用体制を整えることが重要です。保守運用の質が業務の安定性と直結するため、事前の設計段階から計画的に検討しておくべき項目です。

主な保守運用業務には以下のようなものがあります。
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障害発生時の一次対応(システム停止、エラーなど)
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セキュリティ更新、OSやライブラリのアップデート
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ログ監視や稼働状況のチェック、レポート作成
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軽微な仕様変更や不具合修正への対応
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操作マニュアルの更新や利用者からの問い合わせ対応
また、保守対象がサーバー側のみかクライアント側も含むか、SaaSかオンプレミスかといった構成要件によっても対応の内容は変わります。こうした運用範囲を契約時に明確化しておかないと、後々のトラブルにつながります。
さらに、社内での対応フローと保守会社との連携体制を整備しておくことで、万が一の際も迅速に対応できます。特に、保守対象の一覧化や優先度分類をしておくと、トラブル時の混乱を避けられます。保守は「何かあったとき」の保険ではなく、日常の安定稼働を支える土台と捉えることが大切です。
保守運用で発生しやすいトラブルとその対策
保守運用におけるトラブルは、業務に支障をきたすだけでなく、顧客満足度の低下や機会損失にも直結します。特にトラブル発生時の初動が遅れると、対応の遅延や社内外の混乱を招 き、信頼性を損なうリスクが高まります。以下に、代表的なトラブル事例とその対策を紹介します。
対応の遅延
トラブルが発生しても、開発元との連絡が取れなかったり、対応までに数日かかるといったケースです。担当者の不在や体制の不備による影響も大きく、業務停止時間が長引くことで損失が拡大します。
対策としては、契約時にSLA(サービスレベル合意)を設定し、対応時間や手順を明文化しておくことが有効です。また、連絡手段の多重化や予備連絡先の設定も効果的です。

対応範囲の認識違い
軽微な変更を依頼したつもりが「追加開発扱い」とされ、別途費用を請求されることもあります。これは、依頼側と開発側の認識がすれ違ったまま進行してしまうことに起因します。保守運用の範囲と除外項目を明確に契約書に記載し、口頭ではなく書面で合意を取ることが重要です。
追加対応が発生した場合の費用目安や見積ルールも併せて共有しておくと、予期せぬコスト増を避けられます。
属人化による対応停止
担当者の退職や変更により、対応の質やスピードが著しく低下することがあります。特定の人物に依存した体制では、業務がブラックボックス化しやすく、トラブル時の復旧にも時間がかかります。
これを防ぐには、ドキュメントや仕様書をしっかりと整備し、引き継ぎをスムーズに行える体制をあらかじめ構築しておく必要があります。開発会社に対しては、複数名での対応や情報の共有体制の有無を事前に確認しておくとよいでしょう。
緊急時の連絡手段が不明
深夜や休日に重大な不具合が発生した場合、誰に連絡すればよいのかわからず対応が遅れるケースも少なくありません。結果として、業務停止が長期化したり、顧客対応に遅れが出たりする可能性があります。
緊急時の連絡手段や対応フロー、連絡可能時間帯、緊急連絡先リストなどを事前に整理し、関係者間で共有しておくことが大切です。災害や停電などの想定外トラブルにも備えて、BCP(事業継続計画)の一部として整備する企業も増えています。
こうしたトラブルを防ぐためには、契約時だけでなく運用中も定期的なレビューを行い、問題点を早期に改善していく姿勢が求められます。保守運用は「万が一」の備えにとどまらず、サービス品質の継続的な改善や顧客満足度の向上を支える、企業にとって欠かせない基盤といえます。
契約前に確認すべき保守範囲と費用の目安
保守運用に関する契約内容をあいまいにしたまま進めてしまうと、後々のトラブルや追加費用の原因となります。契約前に確認すべきポイントを明確に整理しておきましょう。
まず、基本的な保守範囲を明文化することが最優先です。一般的には以下のような対応が保守対象となります。
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バグ修正(軽微なもの)
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セキュリティ更新、脆弱性対応
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操作に関するサポートや問い合わせ対応
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ログやシステム稼働状況の定期確認
一方で、以下のような内容は追加費用が発生する場合があります。
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新機能の追加や仕様変更
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大規模なデータ移行や外部連携
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業務フローの変更に伴う設計修正
保守の費用感としては、小規模システムなら月額数万円~十数万円程度が一般的です。しかし、サポートの範囲や稼働時間、対応スピードなどによっては大きく異なります。複数の企業からの見積もりを比較する際には、内容だけでなく、対応体制や品質にも注目して検討することが重要です。
また、緊急対応の有無や優先順位の取り扱い、連絡手段、稼働時間帯の範囲(平日対応のみか、土日祝含むか)なども契約前に明確にしておくことで、トラブルを未然に防げます。
システムは保守運用まで含めて「完成」
受託開発で構築したシステムは、導入後の保守運用まで含めて初めて「ビジネスに活用できるツール」となります。どれだけ優れた設計でも、運用後に対応体制が整っていなければ、本来の力を発揮できません。
特に、トラブルへの即時対応やアップデート対応、ユーザーからのフィードバックを反映した改善作業は、長く安全に使い続けるために欠かせない取り組みです。契約段階で保守範囲や費用、対応スピードなどをしっかりと確認しておくことで、導入後のトラブルを未然に防げます。
さらに、定期的な保守内容の見直しや、改善提案を受け入れる体制を構築することで、システムは「維持」だけでなく「進化」を遂げる資産へと変化していきます。システム導入はあくまでもスタートラインです。長期的なビジネス運用を見据え、安定稼働と成長支援を実現する保守運用体制を整えてください。
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